憲法学会のご案内


憲法学会第108回総会並びに研究集会を、下記の通り開催いたします。ご多忙中とは存じますが、万障お繰り合わせの上ご出席下さいますよう、ご案内申し上げます。


平成24年8月28日

憲法学会理事長  高 乗 正 臣


1.日時

平成24年10月20日(土)午前10時より午後5時まで

受付開始 午前9時30分

2.会場

皇學館大学

〒516-8555
三重県伊勢市神田久志本町1704(9号館)

電話0596(22)0201(代表)

会場へのアクセス方法

交通案内は大学のページ内の「交通アクセス」をご覧ください。

3.総会幹事

総会幹事 皇學館大学 富永 健

4.研究報告

午前の部

(1)新教育基本法法制下の「価値教育」現代公教育の本質と課題

鹿児島女子短期大学 池田哲之

司会 皇學館大学 新田均

(2)里見岸雄における国体と憲法

里見日本文化学研究所 金子宗徳

司会 日本大学 百地章

午後の部

(3)ポスト“西洋近代”憲法論

早稲田大学 小林昭三

司会 白鴎大学 野畑健太郎

(4)憲法学からみた社会福祉における「人間の尊厳と自立」

西日本短期大学 山崎将文

司会 志學館大学 長谷川史明

(5)クーデタと緊急権 英連邦諸国の事例から

苫小牧駒澤大学 東裕

司会 東洋大学 齋藤洋

5.役員会

総会当日の昼食時に開催の予定です。

6.総会

昼食後の午後1時30分より行います。

7.懇親会

午後5時30分より伊勢パールピアホテル(伊勢市宮後 2-26-22、0596-26-1111)において行います。

8.その他

(1) 総会及び懇親会の出欠について、案内状に同封のはがきで、10月13日(土)までにご返信下さい。

(2) 平成24年度の会費(機関誌代を含む)8,000円を未納の方は、会場の受付にてお納め下さい。

(3) 懇親会にご出席の方は、懇親会費6,000円をいただきます。

(4) 平成22年度以降の主要な研究業績、学会に企画して欲しいテーマもしくは発表希望テーマを同封のはがきでお知らせ下さい。会員の方には、はがきに発表希望テーマを積極的に記していただき、その中から発表者を原則として決めることに致します。

(5) 会場付近の案内は、憲法学会のご案内をご覧ください。

(6)宿泊につきましては、直接ご手配ください。


 

第108回憲法学会研究集会 発表要旨


 

新教育基本法法制下の「価値教育」現代公教育の本質と課題

鹿児島女子短期大学 池田哲之

地域社会力の消失や家庭教育格差が顕在化するなか、知育のみならず徳育の面においても、公教育のはたす役割に期待が寄せられるようになっている。しかしその一方、公教育における、個人の主観的価値に関わる領域への関与をいまだ違法・不当視する識者も少なくない。本報告では、価値教育否定論の問題点を、新教育基本法、とくに同法 2条の憲法学的・教育学的考察によって指摘しつつ、新教育基本法施行下のあるべき公教育像を提示してみたい。


 

里見岸雄における国体と憲法

里見日本文化学研究所 金子宗徳

里見岸雄(1897〜1974)は「科学的国体論」を提唱し、政治学・宗教学・歴史学など既存の学問領域を横断する形で研究を重ねた。憲法についても独自の見解を示し、大日本帝国憲法を論じた『国体法の研究』(1938年)により、立命館大学から法学博士号を授与されている。本発表では、生命弁証法に基づく里見の国体論を概説した後、その憲法論の特質を明らかにしたい。また併せて昭和皇室典範に関する里見の見解を紹介する。


 

ポスト“西洋近代”憲法論

早稲田大学 小林昭三

日本国憲法は近代的憲法である。ただし、米国民主主義風に脚色され、かつ連合国とくに米国の占領政策により修飾されていた。だから、独立後の憲法改正論はまず占領憲法からの脱却を論じ、憲法規定の不備是正を説いた。しかし、なぜか日本国憲法の基本原則は変えない旨を言いつづけている。そこで、占領により補われた憲法であることを確認し、また西洋近代的成文憲法の行き過ぎと行きづまりからポスト近代憲法が模索されている現在を踏まえ、われわれにとってのもうひとつの選択肢も、ということになった。すなわち、西洋近代文明と特性・条件を異にする、非西洋なかんずく日本文明に見合う憲法の可能性追求が、それ。3年前のシンポジウム「いま憲法と国家を問う」の私なりの中間報告のつもりである。


 

憲法学からみた社会福祉における「人間の尊厳と自立」

西日本短期大学 山崎将文

介護福祉士の教育内容(授業科目)として「人間の尊厳と自立」が新設され必修とされた。他方、日本国憲法は、25条2項で社会福祉という言葉を用いながら、「人間の尊厳と自立」に関する規定を持たない。しかしながら,人間の尊厳を憲法の最も重要な基本原理として位置づけようとする研究者がいるし、憲法13条の幸福追求権の一つとして自己決定権が主張されるとき、自己決定は自立と同音語で同義語の自律と同じ意味で使われる。憲法を研究する者にとっても「人間の尊厳と自立」は無関心ではいられないテーマといえる。そこで、憲法学の観点から社会福祉における「人間の尊厳と自立」を考察してみたい。


 

クーデタと緊急権 英連邦諸国の事例から

苫小牧駒澤大学 東裕

2006年12月、フィジーでクーデタが発生した。実行者である軍司令官は自らの行為をクーデタではなく、憲法保障のための正当な行為であり、緊急権の行使であるとの立場をとった。そこで援用されたのが“必要性の原理(doctrine of necessity)”である。我が国では馴染みの薄い英連邦諸国の判例で形成されたこの原理を分析し、その適用によるクーデタの合法性の可能性、および憲法規定によらない超憲法的緊急権の可能性を検討する。


 


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