憲法学会のご案内


憲法学会第106回総会並びに研究集会を、下記の通り開催いたします。ご多忙中とは存じますが、万障お繰り合わせの上ご出席下さいますよう、ご案内申し上げます。


平成23年9月1日

憲法学会理事長  高 乗 正 臣


1.日時

平成23年10月29日(土)午前10時より午後5時まで

受付開始 午前9時30分

2.会場

近大姫路大学

〒671-0101兵庫県姫路市大塩町2042-2

電話 079-247-7301

会場へのアクセス方法

交通案内はこちらをご覧ください。

3.総会幹事

総会幹事 近大姫路大学 間宮庄平

4.研究報告

午前の部

(1) 国旗国歌問題と教員の思想良心の自由

松蔭大学 高乗智之
司会 高崎経済大学 新田浩司

(2) 全国民への共通番号の付番と人権保障

慶應義塾大学 新保史生
司会 近畿大学 石田榮仁郎

午後の部

(3) ドイツ立憲主義の継受 -明治憲法の場合-

朝日大学 齋藤康輝
司会 白鴎大学 渡邊亙

(4) 現代タイ王国憲法の構造問題 -「アジア新立憲主義への視座」-

九州産業大学 下條芳明
司会 志學館大学 長谷川史明

(5) 尖閣諸島の法的地位と論点

苫小牧駒澤大学 永石啓高
司会 日本大学 百地章

5.役員会

総会当日の昼食時に開催の予定です。

6.総会

昼食後の午後1時30分より行います。

7.懇親会

午後5時30分より学内において行います。

8.その他

(1) 総会及び懇親会の出欠について、案内状に同封のはがきで、10月22日(土)までにご返信下さい。

(2) 平成23年度の会費(機関誌代を含む)8,000円を未納の方は、会場の受付にてお納め下さい。

(3) 懇親会にご出席の方は、懇親会費6,000円をいただきます。

(4) 平成21年度以降の主要な研究業績、学会に企画して欲しいテーマもしくは発表希望テーマを同封のはがきでお知らせ下さい。会員の方には、はがきに発表希望テーマを積極的に記していただき、その中から発表者を原則として決めることに致します。

(5) 会場付近の案内は、こちらをご覧下さい。

(6) 宿泊につきましては、近大姫路大学のご配慮により、次の三つのホテルの部屋を数に限りはありますが、優先的に確保してあります。ご予約は、各自9月30日(金)までに各ホテルに直接お願いいたします。予約時にホテルにお伝えいただく事項につきましては、郵送にて送付済みの学会開催案内状をご覧ください。
・ホテル日航姫路(079-222-2231)
・姫路キャッスルホテル (079-284-3311)
・ヴィアイン姫路(079-286-6111)


 

第106回憲法学会研究集会 発表要旨


 

国旗国歌問題と教員の思想良心の自由

松蔭大学 高乗智之

憲法19条が保障する思想良心の自由は精神的自由の中核をなすが、公立学校の教員が個人的思想に基づき、入学・卒業式における国歌斉唱の際に起立斉唱を求める職務命令を拒否することまでも保障しているとは考えられない。一方、憲法上の人権を制約する命令の正当性の根拠には、憲法上の裏付けが求められる。本報告では、上記の視点から一連の「君が代訴訟最高裁判決」を素材に、教員の思想良心の自由の制約の論拠について若干の考察を試みる。


 

全国民への共通番号の付番と人権保障

慶應義塾大学 新保史生

「社会保障・税番号大綱」により「番号制度(マイナンバー)」の導入が決定した。所得情報の把握と公平な社会保障給付の実現のために、国民を確実に識別することを目的として用いられる共通番号は、国家による国民の管理、個人情報の追跡・突合・財産その他の被害等の問題が指摘されている。番号制度の導入と人権保障における課題について、第三者機関(三条委員会)の設置へ向けた提言、情報保護評価(PIA)の実施に向けた方針について報告する。


 

ドイツ立憲主義の継受 -明治憲法の場合-

朝日大学 齋藤康輝

一般に明治憲法はプロイセン憲法の君主制原理を採り入れたという解説が行われてきたが、プロイセン憲法は君主制原理を特に明示した条文をもたず、日本が準拠したのはプロイセンの憲法解釈である。プロイセン憲法の規定に対する非プロイセン憲法的解釈、ないしは南ドイツ憲法的解釈の検討を嚆矢とし、本報告では、明治前半期のドイツ立憲主義の継受についていくつかの問題提起を行いたい。


 

現代タイ王国憲法の構造問題 -「アジア新立憲主義への視座」-

九州産業大学 下條芳明

アジアの憲法政治では、とくに冷戦終結後、従来の政治発展論の失敗にかんがみ、西洋立憲制度の移植に際して、受け入れ国の主体性・地域性・固有性などを重視する「新立憲主義」の潮流が顕著となっている。本報告では、世紀転換期のタイの二つの王国憲法「1997年憲法と2007年憲法」を素材に、憲法裁判所の創設などその構造変革上の特徴を解明することにより、ポスト開発国家期を迎えた現代アジア憲法の新動向を探りたい。


 

尖閣諸島の法的地位と論点

苫小牧駒澤大学 永石啓高

国家がある一定地域に対して領域権原を取得すれば、理論上は、その権原は即座に他のすべての国への対抗力を発生させ、その結果、その特定の地域に対する領域権原が競合することはないとされる。しかしながら、領域権原取得の事実自体が不明確である場合、実際にはその地域の帰属をめぐって法的紛争になるケースが見受けられる。
日本は幕末から明治期にかけて周辺島嶼の領域画定を開始し、尖閣諸島はこの時期に先占に基づき領土編入がなされた地域の一つであり、その後、日本の領土は歴史的過程の中で拡大・縮小し現在に至っている。同島嶼は、1971年の中国による領域権原の主張以来、日中の双方が領域権原を主張する地域であり、同島嶼が上記法的紛争対象のケースであるのか否か、その法的地位に関して、双方の主張を基底としつつ、これまで公刊されてきた論点を整理することで、若干の考察を試みてみたい。



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